中東レビュー
Online ISSN : 2188-4595
ISSN-L : 2188-4595
論稿
エジプトの経済開発:2000年以降の成果と政策
Ichiki Tsuchiya
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2019 年 6 巻 p. 38-55

詳細
抄録

エジプト政府は2000年代初めに経済開発体制を見直し、市場主義に基づく成長という方向性を明確に打ち出した。規制を緩和し、グローバル経済に適応することで、持続的な経済成長を実現しようとするものだった。

ナズィーフ内閣で実践された経済改革によって、エジプト経済は2000年代半ばに成長局面を迎えた。ビジネス環境が改善し、対内直接投資と輸出が拡大したことで、四半世紀ぶりの高成長を記録した。その一方で、貧困率は2000年代に悪化した。なかでも、高成長だった2000年代後半に貧困率は大きく上昇した。

2011年の「1月25日革命」では、ナズィーフ内閣の政策運営はクローニー資本主義だったとして非難の的になった。しかし、その政策枠組みだった市場主義経済の下での成長という方向性は、革命後の政権にも引き継がれた。成長重視の方針は、政府が変わっても変更されることはなかった。

著者関連情報
© 2019 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top