抄録
グラフ電卓などを中心としたテクノロジーの進化と普及によって,いろいろな現象をきわめて簡単にデータ化しグラフ化することが可能となって来ている。このことは数学の学習においてもその内容や指導法に関して,従来とは異なる新たな展開の可能性を示しているとも言える。例えば,グラフ電卓と距離センサーを用いて,各自が歩く様子をグラフ化してみると, 子ども達は時間と距離の関係を意識しながら「速さ」そのものを体感することがでQき正にこうした体感を数学の学習に取り入れることが可能な時代となって来たのである。本研究では1997年の夏に催された「科学の祭典」(主催:科学技術庁・日本科学技術振興財団)の中行った, 子ども達の歩いた様子をグラフ化する実践をもとに, そこで得られた120 のケースの中からいくつかの事例を取り上げ,数学を体感させる可能性について考察した。