数学教育学会誌
Online ISSN : 2434-8899
Print ISSN : 1349-7332
中等教育の数学教師に求められる素養
その理(ロゴス)と技(アルス)の背景
藤田 宏
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2007 年 48 巻 3-4 号 p. 1-13

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抄録
今世紀における中等教育の数学教師は,数学の学問性によって生徒を感動させ,また,生徒に彼等の生涯における数学の有用性を確信させることができなければならない。このことを達成するためには,数学教師は‘理’についても‘技’についても然るべき素養が必要である。たとえば,数学教師は,後述の意味で, 「数学教育はアートであり,教師はその主役である」と自覚せねばならない。また,やはり下で説明することであるが,数学の動向,とくに応用数学の動向と方法論が現代の科学技術の変容のもとでどのようになっているかを承知しておかねばならない。こうした変容に応じるためになすべきことは多いが,本論文においては,中等教育の数学のアプローチを次の両者を局所的にも大局的にも良いバランスを保って複線化することを提言するものである:一つは‘理’を強調する路線であり,他方は‘技’を尊重する路線である。なお,最終節では,通常のシラバスからいくつかの話題を挙げているが,そのおのおのは,理論的思考のため,あるいは,応用的リテラシーのための素材として有意義と思われるものである。
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© 2007 (一社)数学教育学会
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