人間生活文化研究
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栄養士養成課程における献立作成能力に関する研究 第3報
―学生が作成した献立の実態と課題―
蓮見 美代子鎌田 久子相川 りゑ子
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2017 年 2017 巻 27 号 p. 213-220

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抄録

 栄養士養成課程1年生の女子学生157名が,給食管理実習Ⅰ(2012年7月中旬)および給食管理実習Ⅱ(2013年1月中旬)において課題献立として提出した459献立を分析対象とし,栄養量と食品群別重量などを分析して課題を探り,献立作成能力の向上につながる教育内容を検討した.

 エネルギー量の平均値は給与栄養目標量に近いほぼ適正値で,エネルギー量が給与栄養目標量の±10%範囲の献立は83.0%であった.カルシウム量の平均値は給与栄養目標量より高く,給与栄養目標量の50%を超えた献立は13.1%であった.鉄量の平均値は給与栄養目標量より高く,給与栄養目標量の50%を超えた献立は27.7%であった.食物繊維量の平均値は給与栄養目標量より高かったが,給与栄養目標量の50%を超えた献立は11.1%であった.食塩相当量の給与栄養目標量±10%範囲の献立は3割で,7割の献立は給与栄養目標量に調整できていなかった.

 カルシウム量,鉄量,食物繊維量の給与栄養目標量の50%を超えた献立は,食品の使用量が一人分の料理に使用する食品の適量を超えていた.カルシウム量を高める原因となった食品は,「ごま」「ほしひじき」「カットわかめ」,鉄量は「ほしひじき」,「ほうれんそう」,「あさり」,食物繊維量は「ほしひじき」,「乾しいたけ」,「カットわかめ」であった.

 本研究から,献立作成能力の向上には,料理の一人分の適量,食品の一つ分の重量,カルシウム・鉄・食物繊維を多く含有する食品の種類,乾物や粉製品などの重量,乾物の戻し倍率,料理の適正な調味割合の理解を促す教育の強化が必要であることが示唆された.

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© 2017 大妻女子大学人間生活文化研究所
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