数学教育学会誌
Online ISSN : 2434-8899
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小学校低学年児童の分布の見方に関する実態
分布を推測する様相に焦点をあてて
川上 貴
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2010 年 51 巻 1-2 号 p. 1-14

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抄録

本稿の目的は,小学校低学年からの分布に関する指導の可能性を追究することを目指して,分布を推測する様相に焦点をあてて,小学校低学年の児童が分布の見方をどのように発揮するかを事例的に明らかにすることである。そのために,小学校第2学年を対象に実施した実験授業における分布を推測する場面に焦点をあてて,SOLO Taxonomy に基づいた分析枠組みを用いて児童の分布の見方の質を分析した。その結果,以下の2点が明らかとなった。第一に,クラスで意識化された変動を踏まえて分布を推測できる児童がいたことである。第二に,はじめは,殆どの児童の分布の見方は未熟であったが,標本が追加されていく過程を根拠としたり,グラフ的表現を用いたりして推測することを通して,多くの児童が,より質の高い分布の見方を発揮していたことである。

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© 2010 (一社)数学教育学会
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