抄録
本研究では、日本の高校生の主語位置における名詞句構の習得を調べるために、
Koukousei Billy’s テスト(KB テスト)を作成した。KB テストには、6 種類の名詞句構が含まれ ている。調査 1 では、高校生 278 名を対象に KB テストを実施した結果、全体の正答率は、50% に満たなかった。また、Group 1(前置修飾句)、Group 2(後置修飾句)、Group 3 (後置修飾節)の 3 つ の異なる難易度の階層性があることが示唆された。更に、文法的な処理ができていないことに よる典型的なエラーパターン(中間言語体系)も明らかにされた。そして、名詞句構は把握でき ているようだが、その英文の意味を理解できていない学習者も一部いることが分かった。調査 2 では、KB テストを改良し、全部で 9 種類の名詞句構をテスト項目に含めて、より包括的に名 詞句構の習得を調べた。高校生 42 名を対象として、改良版 KB テストを実施した結果、調査 1 の結果が支持された。調査 1 と 2 の結果から、KB テストは十分な信頼性を持ち、高校生の名詞 句構の習得を測ることができ、高校生の名詞句構の習得を調べるためのツールとして役立 つと考えられる。