抄録
本稿は,研究者が出産・育児を経ながら研究活動を継続するための課題と可能性について,具体的事例を交えて考察したものである。まず,子どもが帯同する学会参加の経験を通じ,宿泊・移動・託児・同伴者の確保などに伴う経済的・心理的障壁を明らかにした。その上で,学会運営における子育て世代への配慮として,託児サービスや授乳・おむつ替えスペースの整備,オンライン参加や急な欠席への柔軟な対応が有効であることを示した。次に,近年の育児・介護休業法の改正や「産後パパ育休」の創設により,休業取得の柔軟性が増している点を紹介し,大学における制度・支援体制の格差も指摘した。育児休業中の研究活動や科研費執行の可否,兼業の制限に関する事例を通じ,必要な支援や当事者として求められる態度についても検討した。