メソドロジー研究部会報告論集
Online ISSN : 2759-5684
適応型テストへの応用―ベイズEAP推定法とフィッシャー情報量の概説―
住 政二郎
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2015 年 7 巻 p. 25-39

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抄録
本稿の目的は,ベイズEAP推定法とフィッシャー情報量について概説することである。著者は,項目反応理論に関連して,ラッシュモデルの導出 (住, 2013),各モデルの概説 (住, 2014),PROX法と同時最尤推定法 (住, 2015) についてこれまでまとめてきた。項目反応理論は,テストの開発および結果の分析のみならず,適応型テスト (computer-adaptive testing) にも応用されている。適応型テストは,受験者能力を推定し,受験者能力にあった問題項目を出題することを特徴とする。このとき,受験者能力の推定にはベイズEAP (expected a posteriori) 推定法が,問題項目の選択にはフィッシャー情報量が利用されることが多い。しかし,適応型テストに関連する論文では,紙面の都合から、各手法を使った事実や数式のみが記載されていることが多く,詳細な説明を得ることが難しい。また,項目反応理論に関連する書籍では,数学的な知識が前提とされていることが多く,文系読者には理解が難しい。加えて,数式の記述形式に書籍間で微妙な違いがあり,初学者の理解を妨げている。本稿は著者が複数の関連書籍を通読し,その理解をまとめたものであるが,これから項目反応理論を学ぶ読者の助けになれば幸いである。
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© 2015 外国語教育メディア学会(LET)関西支部メソドロジー研究部会
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