1962 年 13 巻 1 号 p. 39-44
1960年から61年にかけ, 川崎市の市街地, 住宅地において, ゴキブリ類の生息実態調査を行つた.アンケートによる被害状況調査では, 98.3%の家に生息し, 76.6%の家が困つていることが分つた.ゴキブリの生息密度と, 生息環境との間の関係を見出すため, 調査を行つたが, 良い結果は得られなかつた.1年近くにわたつて, トラップを配置して調べた結果チャバネゴキブリ, ヤマトゴキブリ, クロゴキブリの3種が捕獲され, この順に多かつた.チャバネは飲食店や事務所に, ヤマトとクロはアパートや木造民家に多く, すみわけの傾向がみられた.季節的な現われ方をみると, チャバネは1年中活動していて, トラップに捕集された.7〜9月に特に多かつた.ヤマトとクロは, 1〜3月には全く捕集できなかつた.不活動状態で, 物奥にひそんでいた.5〜8月に多く捕集された.