衛生動物
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家畜飼養とハエ類の発生に関する研究 : (3) 東京都日野町農家の場合
大塩 行夫池内 まき子
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1964 年 15 巻 2 号 p. 71-77

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抄録
昭和37年5月から38年4月までの1年間, 東京都日野町の家畜飼養農家8戸と, これに隣接する非農家2戸について, ハエとりリボンにより住宅内, 外のハエの調査を行なつた.1) 採集されたハエの種類は, イエバエ科, クロバエ科, ニクバエ科をはじめ32科におよんだ.その数は総数が49, 176個体で, うちイエバエ科が14, 446個体でもつとも多かつた.この32科のうちには, 年間を通じてわずか1-3個体しか採集されなかつたものも数科あつた.2) 季節的消長をみると, 全体的には6, 7月を頂点とする1山性の傾向をもつものが多かつたが, イエバエは5月と12月を頂点とする2山性であつた.3) 採集場所別にハエの種類および数をみると, 種類の多かつたのは縁側, 牛舎, 鶏舎で, 数では堆肥舎および豚舎が多かつた.しかし, 一般に家屋侵入性の高いイエバエ, ヒメイエバエ, オオイエバエは, 住宅内, とくに台所でもつとも多く採集された.4) 農家別にハエ数をみると, 各農家により採集されたハエ数はいちじるしく異なつていた.農家の住宅内ハエ数の多少は, 発生源の有無, 大小, 距離, そして経営状態, 家族構成, 家屋の構造あるいは家庭管理の良否など, 多くの要因が相互作用して起るものと考えられた.
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© 1964 日本衛生動物学会
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