衛生動物
Online ISSN : 2185-5609
Print ISSN : 0424-7086
ISSN-L : 0424-7086
塩素剤抵抗性チャバネゴキブリに対する有機燐殺虫剤の効力
鈴木 猛松永 秀子
著者情報
ジャーナル フリー

1967 年 18 巻 2-3 号 p. 132-134

詳細
抄録

塩素剤抵抗性チャバネゴキブリの駆除法の資料を得る目的で, dieldrinに感受性の伝研系と, 抵抗性の高い砂子系(RR 93.3%, RS 5.0%, SS1.7%)を用い, diazinon, fenitrothion, fenthionの効力を残渣接触法で比較した.また, リンデン単剤(リンデン20%)とリンデン・DDVP混合の各燻煙剤の効果を検討した.その結果, 残渣接触法においては, 砂子系に対して, ここに用いた3種の燐剤の効力は伝研系に対するとほぼ同様であり, 10分ないし1時間の接触で十分な効果が認められた.これに対して, dieldrin, chlordane, lindaneの塩素剤では, 伝研系に対しては, 2〜10分の接触で十分な効果が認められるが, 砂子系では, 2日間接触でも23%の死亡率しか示さないか(dieldrinとchlordaneの場合), あるいは, 6時間接触でも87%の死亡率にとどまつた(lindaneの場合).燻煙試験の結果, 砂子系に対しては, リンデン単剤, リンデン・DDVPの混合剤のいずれも, 伝研系に対するよりはるかに低い効力しか示さなかつた.以上の結果から, 塩素剤抵抗性のチャバネゴキブリに対しては, diazinon, fenitrothion, fenthionなどの有機燐剤が, 特に残留処理に用いた場合, 高い駆除効果を示すものと考えられる.

著者関連情報
© 1967 日本衛生動物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top