衛生動物
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チヤバネゴキブリの閉鎖集団における dieldrin 抵抗性の減退について
田中 生男鈴木 猛松永 秀子水谷 澄
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1968 年 19 巻 1 号 p. 77-81

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抄録
1.dieldrinに関してSS (homozygous susceptibles), RS (heterozygous hybrids), RR (homozygous resistants)という3つのphenotypeの構成比を異にするチヤバネゴキブリ(Blattella germanica (L.))の7つのコロニーを用い, 閉鎖集団として実験室内で最長2年にわたつて飼育し, その抵抗性の推移を求めた.2.その結果, どのコロニーにおいても, R (抵抗性遺伝子)の頻度が減少する傾向を示した.たとえば神田コロニーでは, 当初Rの頻度が38.8%であつたものが, 2年後には1.1%になり, ほぼ感受性のコロニーに近づいた.3.神田系から分離したRR系とSS系を用い両系のfecundityを比較した.その結果, 1卵鞘からのふ化幼虫数には有意差がなく, 産卵間隔では, 第1, 2回は有意差がないが, 3回目はRR系が有意に大きいこと, ♀成虫の寿命はRR系が有意に大きいことを知つた.しかし, これらのfecundityの差は, 混合集団中のRの頻度の減少の主要因ではなり得ないと考えた.
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© 1968 日本衛生動物学会
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