衛生動物
Online ISSN : 2185-5609
Print ISSN : 0424-7086
ISSN-L : 0424-7086
エチオピアのブユ : I. Simulium 属の 4 新種と 3 未同定種について
上本 騏一緒方 一喜Yemane MEBRAHTU
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 28 巻 2 号 p. 133-151

詳細
抄録
1969∿1973年の期間, エチオピア中央衛生研究所と日本海外技術協力事業団の支援の下に, エチオピア帝国において, オンコセルカ症媒介ブユの分布を調査した。この調査の過程で見出された4新種と3未同定種の外部形態をここに記載する。Simulium (Pomeroyellum) awashense n. sp.はS. (P.) mcmahoniに類似するが, 幼虫の頭部cleftの形, 触角第2節の第1,第3節に対する比長, 蛹の呼吸糸の分岐数, ♂成虫のventral plateの形等によって後者と区別できる。Simulium (Metomphalus) gibense n. sp.はS. (M.) fragaiに最も類似するが, 成虫の中胸側膜部に毛が生えている点と, ♂成虫の外部生殖器の把握器とventral plateの形が異なる点で区別が容易である。本種は人吸血性を有する。Simulium (Metomphalus) dawaense n. sp.はS. (M.) gibense n. sp.に酷似するが, 蛹の分岐数と♂成虫のventral plateの形に, 明瞭な差が認められる。Simulium (Metomphalus) jimmaense n. sp.はS. (M.) medusaeformeに酷似するが, 蛹の呼吸糸の配列様式と♂成虫のventral plateの形には顕著な差が認められる。3未同定種'Ethiopian A', 'Ethiopian B', および'Ethiopian C'は, それぞれ, Simulium (Pomeroyellum) alcocki, S. (P.) weyeri, S. (P.) djallonenseに酷似している。蛹や幼虫の形質についてはこれらと明瞭な差が認められたが, ♂成虫が得られなかったので, 未同定種として, それぞれの蛹, 幼虫, または♀成虫の形態を略述する。
著者関連情報
© 1977 日本衛生動物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top