衛生動物
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テメフォスに対する渓流の底生動物の感受性野外試験
安野 正之塩山 房男長谷川 淳一
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1981 年 32 巻 3 号 p. 229-234

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抄録

ブユ幼虫駆除にさいし非目標種に影響の少ない薬剤や散布方法を選択することが肝要である。ブユの生息する河川の底生動物の殺虫剤感受性について野外において実験を行った。環境も河川形態も底生動物相も相似た隣り合う二つの小さな渓流にテメフォスの乳剤を同時に流した。同じ地点から約2時間の間隔で1,2,5,10,20ppmになるようにそれぞれ10分間流した。流下する底生動物を10m下流に設置した流下ネットで捕えた。結果は二つの渓流でよく一致し, 濃度が高くなるほど種類数は増加したが, 個体数は種によって異なり, 感受性の高い種は低濃度でほぼ流下しつくし, 高濃度で処理した時点では流下する個体が残存していなかった。それぞれの種の流下様式から感受性を類推し, 4段階に区別できた。Simuliidaeはテメフォスに対し感受性の高い群に属し, 比較的低濃度で流下する。その濃度ではBaetis sp., Dolophilodes sp., Anisogammarus sp., Isoperla sp.のみが共に流下し, 他の大多数の種は著しい影響を受けなかった。

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© 1981 日本衛生動物学会
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