衛生動物
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Anopheres leucosphyrus 種群の 7 系統に関する交配と二, 三の生物学的性状について
神田 錬蔵高井 憲治Geok Lian CHINNGWeng Hooi CHEONGSupat SUCHARIT
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1981 年 32 巻 4 号 p. 321-329

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抄録

地理的に離れた地域分布のAnopheles leucosphyrus種群集団から採った7系統, タイ国チャンタブリ州(CTB)系, カンチャナブリ州(KCH)系, マレーシア国ペリス州(IMR)系, パハング州(KSU)系, サバ州(KTD)系, サラワク州のSWK系およびSWN系を用い, 形態の観察, 交配実験, 細胞遺伝学的観察により系統間の系統発生学的関係を明らかにした。細胞遺伝学的には唾腺染色体の多糸染色体は系統間相同の一致した縞模様をもっており, 遺伝的に類縁の関係をもつものと解せられた。しかしSWK系とSWN系は他5系統とは遺伝学的に独立した種Anopheles leucosphyrus s.s.とかんがえる。CTB, KCH, IMR, KSU, KTDの5系統間の遺伝学的関係から, dirusとbalabacensisとは別種とは考えられなく, IMR系はマレーシア北部由来の170代以上累代飼育した系統であるが, 半島中部のKSU系とは同一群とみなしうる関係をもつ。そしてこれら2系統はCTB系, KTD系とも遺伝的に類縁関係をもち, 形態的特徴が両者に重合する個体がみられ, "bottleneck" effectによるrecent populationと判断される。

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© 1981 日本衛生動物学会
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