抄録
サソリモドキ類は世界で約70種が知られ, 日本には1属2種, タイワンサソリモドキTypopeltis crucifer Pocock, 1894.とアマミサソリモドキTypopeltis stimpsoni (Wood, 1862), を産する。これらは肛門付近から酢酸臭の強い分泌液を噴射する。米国産大形種Mastigoproctus giganteusについてはEisner et al. (1961)の報告があり, タイワンサソリモドキについては, Yogi and Haupt (1977), Itokawa et al. (1981)の報告がある。この2種のサソリモドキの毒液の化学組成は, ほとんど同じであることが示された。今回日本産サソリモドキのもう一方の種アマミサソリモドキの毒液の組成について調べたが, その結果は酢酸78.3%, カプリル酸5.8%, 水15.9%で他の2種での組成とほぼ同じであった。