衛生動物
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ゴキブリの卵鞘形成に対する紫外線の阻害効果 : III. 紫外線感受部位の検索
岡本 紀久
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1986 年 37 巻 1 号 p. 67-73

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抄録
ゴキブリの卵鞘形成に対して阻害効果を示す紫外線の感受部位を実験形態学的手法と電気生理学的手法を用いて検索した。実験1では, 複眼, 単眼あるいは触角基部のいずれかをアルミニウムはくでおおい, 実験2では, 単眼神経, 視葉あるいは触角神経のいずれかを切断し, 実験3では, 触角を除去し, 実験4では, 触角基部のゴム状クチクラ下に見える神経索状構造を焼灼し, それぞれの処理を行ったゴキブリの頭部だけに一定線量の紫外線を照射し, その後の卵鞘形成状況を観察した。これらの結果とおのおのの対照実験の結果とから, 紫外線感受部位は触角基部のゴム状クチクラ下にあるとみなされた。さらに, 単波長光線を光刺激として, 白金被覆タングステン電極を用いて, 触角基部のゴム状クチクラ下の神経索状構造から, 光刺激によって生ずるスパイク放電を記録した。254nmの刺激に対する反応様式は450nmまで同様で, off反応が検出された。その反応の波長感受曲線から判断すると, この部位の感受性ピークは, 254nm付近と, 500nm付近にあると考えられた。これらのことから, 触角基部のゴム状クチクラ下に見える神経索状構造に本現象に関する紫外線感受部位が局在するものと結論した。
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© 1986 日本衛生動物学会
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