1985年7月23日から8月4日まで筑後市の1.7haの水田で, 音響トラップを使ってコガタアカイエカの空間, 時間的分布を調べた。20∿50m間隔に群飛標識として黒布を敷き, その上に14個のトラップを設置した。蚊の群飛時刻19 : 42から20 : 02の20分間に, 370Hz, 100/110dB, 6/5秒の断続音を発信した。その結果, 合計雄20,141匹, 雌1,116匹を誘殺した。蚊は性によって分布を異にし, 雄は水田全面で均等に分布し, 一部は夜ごとに豚舎へ移動した。反対に雌は, 常に豚舎周辺に集中していた。実験後期には吸血雌の著しい減少がみられた。この原因は水田の中干しによる羽化数の減少か, あるいは飛群での音による交尾妨害で, 処女雌が増加したことよると思われる。