衛生動物
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野外における人工光源を用いたユスリカ成虫の走光性に関する研究 : 2. 効率的な電撃殺虫器の設置距離ならびに誘引光源の強さに関する実験
平林 公男中里 亮治小原 章男沖野 外輝夫
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1993 年 44 巻 4 号 p. 299-306

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抄録

諏訪湖周辺地域において, 毎年秋に大量飛来するアカムシユスリカ(Tokunagayusurika akamusi)成虫の対策活動の一環として, 成虫の光に対する走性を利用した野外実験を試みた。近紫外光を発する蛍光ランプ(ブラックライト)を付けた電撃殺虫器を10器, 信州大学理学部附属諏訪臨湖実験所構内に設置し, より効果的な防除方法について検討した。その結果, 実験期間中, 1日平均13,006±11,834匹の成虫が捕獲され, トラップあたりの成虫捕獲数は, 点灯するトラップの数が少ないほど, または, 点灯するブラックライトの数を多くするほど, 多く捕獲できる傾向を示した。また, 電撃殺虫器に4本のブラックライトを取り付け, 設置間隔が20∿30mである場合が, 捕獲効率が経済的, かつ効果的であると判断された。これらのことより, 野外において電撃殺虫器による成虫制御の可能性が示唆された。しかしながら, 成虫の飛来量が非常に多い場合には, 電撃格子に虫体が付着し, トラップがうまく作動しないなどの構造上の問題点も指摘され, 今後, 改良の必要性が示唆された。

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© 1993 日本衛生動物学会
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