1993 年 44 巻 4 号 p. 395-396
野鳥の巣から発生する双翅類の調査を行った際に, イエバエ科に属するハエを得た。この成虫を調べたところ, 日本未記録のPotamia littoralis R.-D., 1830トリノストゲイエバエ(新称)であることがわかった。本種は, ヨーロッパでは鳥の巣, ハチの巣, ウサギの糞などから発生し, さらに人糞, 種々の汚物, 腐朽した樹木, 菌類などからも記録されている。今回の記録は, 樹洞性の鳥の巣(シジュウカラ, ハシブトガラ, コムクドリ, ムクドリ, アカゲラ)からのみで, 幼虫は巣内の鳥の羽毛, 皮膚の剥片, 皮脂, 糞尿などの混ざった部分から発生する。