春と秋に出現するヒゲナガチマダニ成虫が同じ世代であるかどうか明かにするために, 春と秋に埼玉県の秩父山系から採集した成虫の宿主探索活動を屋外においたプラスチック円筒内で観察した。1993年4月に採集した成虫は5月まで活発な活動がみられたが, 8月にはほとんど見られなくなった。1996年5月に採集した成虫も同様の活動傾向を示した。1993年, 1996年とも, 10月にすべての成虫の死亡を確認した。1993年10月に採集した成虫は10月から翌年の5月上旬まで活発な活動がみられたが, 7月にはほとんど活動は見られなくなった。1996年10月に採集した成虫も冬期(1∿2月)に活動が低下したものの, ほぼ同様の活動傾向を示した。1993年, 1996年とも, 8月にすべての成虫の死亡を確認した。以上の結果から, 埼玉県において春と秋に活動するヒゲナガチマダニ成虫は同じ世代ではないと考えられた。