衛生動物
Online ISSN : 2185-5609
Print ISSN : 0424-7086
ISSN-L : 0424-7086
北海道で採集されたブユ属ホソスネブユ亜属の一新種について
高岡 宏行青木 千春
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2007 年 58 巻 4 号 p. 313-323

詳細
抄録

北海道小樽市の一細流で採集されたブユの蛹,終齢幼虫,および蛹から羽化させた雌雄成虫の標本をもとに新種Simulium (Nevermannia) babai sp. nov.(和名: キアシホソスネブユ)の記載を行った.本新種は,ブユ属のホソスネブユ亜属に属し,さらにvernum種群に分類され,雌雄成虫の転節,腿節および脛節の大部分が黄色である特徴を有する.この点,S. (N.) uemotoi Sato et al.に酷似するが,雌成虫の感覚胞が中程度の大きさであること,雄成虫では頭部上半部の個眼の列の数が少ないこと,幼虫頭部のcleftが中程度の大きさであることなどにより区別される.蛹は,S. (N.) subcostatum (Takahasi)と区別が困難であるが,雌雄成虫の腿節のほとんどが黄色であること,幼虫頭部が黄色で明瞭な斑点を有することにより区別される.また,蛹では,S. (N.) koshikienseにも似るが,雌成虫の感覚胞が中程度の大きさであること,雌雄成虫の腿節および脛節のほとんどが黄色であることにより区別される,vernum種群に含まれる種および亜種を再検討するなかで,S. (N.) subcostatum chejuense TakaokaはS. (N.) subcostatum subcostatumとはいくっかの形質で確実に区別されることから,種への格上げを提案した.

著者関連情報
© 2007 日本衛生動物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top