日本組織適合性学会誌
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原著論文
PCR-MPH2法を用いた日本人集団におけるHLA-A, -B, -C, -DRB1および-DQB1遺伝子型決定法の確立
松下 正毅小川 貴裕松見 達也長門 正貴岡 孝紀川井 信太郎
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2004 年 10 巻 3 号 p. 167-178

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抄録

我々は, マイクロタイタープレートを用いた新しいHLAタイピング法であるPCR-MPH2法を確立した. この方法ではPCRから発色操作までの条件をすべて統一することによりHLA-A, -B, -C, -DRB1および-DQB1遺伝子のタイピングを同時に行うことが可能となった. 各遺伝子座に対して, 日本人に報告されている2桁のタイピングを行うためにHLA-A遺伝子用に24種類, HLA-B遺伝子用に24種類, HLA-C遺伝子用に23種類, HLA-DRB1遺伝子用に24種類, およびHLA-DQB1遺伝子用に17種類のSSOプローブを用いた. 各プローブの陽性および陰性シグナルの区別が明確となるようにプローブ配列の最適化を行った. 従来のマイクロタイタープレートを用いた方法と比べ, ハイブリダイゼーション温度を37℃にしたこと, TMACでの洗浄操作が不要となったことで, 操作性が大きく向上した. 本法はPCR反応から判定の出力まで約5時間半で終了し, 一人の検査者が一度の操作で32項目のタイピングが可能である. また, 少数検体の多遺伝子座を同時にタイピングする必要がある場合にも有用な方法である.

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© 2004 日本組織適合性学会
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