日本組織適合性学会誌
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総説
「ヒツジのMHC」
竹嶋 伸之輔間 陽子
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2004 年 11 巻 2 号 p. 179-187

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抄録

「1. ヒツジ(Ovis aries)とは?」 ヒツジは四肢の先端に2つに割れた蹄(ひづめ)を持つ事から, 偶蹄目(Artiodactyla)に分類される. 一方, ウマは蹄が1つであるため奇蹄目に分類され, これらは総称して有蹄動物と呼ばれる. 偶蹄目と奇蹄目は約6000万年前に同じ祖先から分かれたとされるが, その後, 次第に衰退していった奇蹄目に対し, 偶蹄目は次第に勢力を伸ばしていき, 現在ではカバ, イノシシ, ラクダ, キリンなどを含む大きなグループに発展し, 有蹄動物全体の約90%を占めている. 偶蹄目の動物の多くは, 4つの胃をもち, 一度食べた食物を吐き戻し, 噛み返すという反芻を行う(これらは反芻獣と呼ばれる)ことで, 他の哺乳類が消化吸収できないセルロースなどを栄養として取り込むことが出来る. この強力な消化吸収能力が偶蹄目, 特に反芻獣が繁栄した一因とされている. ヒツジの属するウシ科はさらに, ウシ亜科やヤギ亜科に別れ, ヒツジはヤギ亜科に属す動物である. 毛, 肉, 乳, 毛皮など飼育の目的が多岐にわたっているヒツジは, 品種の数が極めて多く, 1000種を超える.

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© 2004 日本組織適合性学会
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