1995 年 2 巻 1 号 p. 16-18
免疫性血小板減少症(ITP)の発症に, 特定のHLAクラスI, クラスII抗原が関与している可能性を解析した. 46例のITP患者についてHLAクラスIは血清学で, クラスII抗原についてはPCR-RFLP法でタイピングを行った. クラスI抗原では, HLA-B75, -Cw1の増加, HLA-B61, -Cw3の低下を患者群で認めた. クラスII抗原では, DRB1* 0410, DRB1* 1301, DQB1* 0302, DQB1* 0402, DPBl* 0202, DPB1* 0601, DPB1* 1001, DPB1* 1901の増加, DRB1* 0405, DQB1* 0303, DPB1* 0201の低下を患者群で認めた. しかし, 統計的に有意差を認めたのは, DRB1* 0410とDQB1* 0302の二種類のアリルであった. DRB1* 0410は10例で検出され, そのうち3例がホモ接合体であり, しかもこの3例は, いずれもDQB1がDQB1* 0401のホモ接合体であった. 残りの7例中5例において, DQB1がDQB1* 0402のヘテロ接合体であった. 一部のITP症例では, 発症のメカニズムに, DR4関連の遺伝子が重要であると考えられた. 特発性血小板減少性紫斑症(ITP)は, 血小板減小をきたす原因が認められず, また赤血球系や白血球系には本質的な異常がなく, 骨髄における低形成も認められないことを特徴とする疾患である. ITPは急性型と慢性型に分類され, いずれも血小板抗体によって発症する自己免疫性疾患のひとつであると考えられている(1). しかし, 自己抗体の生成機序は不明であり, 抗体生成を誘導する背景原因として, 免疫調節機構に変調を示す遺伝的要因も想定されうる. そこで今回われわれは, 免疫性血小板減少症とくに成人の慢性ITP患者例のHLAタイピングについて検討を行った.