日本組織適合性学会誌
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総説
実験動物サルのMHCクラスI多様性
成瀬 妙子木村 彰方
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2013 年 20 巻 1 号 p. 35-44

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抄録
旧世界ザルに属するアカゲザル(Macaca mulatta)やカニクイザル(Macaca fascicularis)は,ヒトに最も近い重要な実験動物として,エイズワクチン開発や薬剤の安全性確認をはじめとする各種の医学研究に欠かせない役割を担っている。このような動物実験,なかでも免疫に関わる実験の結果を正しく評価するためには,各個体の免疫応答に関わる遺伝的背景,特にMHC情報を把握することが重要である。筆者らの研究室では,以前よりエイズワクチン開発モデルであるサル免疫不全症候群ウイルス(simian immunodeficiency virus: SIV)に対するワクチン開発実験に用いられているアカゲザルやカニクイザルについて,RSCA(reference strand-mediated conformation analysis)法やcDNAクローニングによりMhcクラスI遺伝子群の解析を行い,多数の新規アリルを同定する一方,家系解析などから旧世界ザルに特徴的なMHC ハプロタイプ構造を見出している。本稿では,旧世界ザルMhcクラスI解析に関する研究の現状を紹介する。
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© 2013 日本組織適合性学会
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