日本組織適合性学会誌
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総説
慢性骨髄性白血病におけるKIRアレル多型の臨床的意義
進藤 岳郎嬉野 博志小島 裕人田中 秀則木村 晋也
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2018 年 25 巻 3 号 p. 187-195

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抄録

BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(Tyrosine kinase inhibitor: TKI)の登場により,慢性骨髄性白血病(Chronic Myeloid Leukemia: CML)の予後は劇的に改善した。さらにTKIで分子遺伝学的寛解に至った症例の一部はTKIの内服中止後も寛解を維持することから,TKIのみでCMLが治癒に至る可能性がある。しかし治療反応性は症例毎に異なり,それを規定する因子には不明な点が多い。TKIの効果発現には抗腫瘍免疫,特にNK細胞免疫が関与する可能性があり,NK細胞受容体killer immunoglobulin-like receptor(KIR)の多型との相関性が注目されている。KIR多型はこれまで各遺伝子の有無に基づいて議論されてきたが,次世代シークエンサーの登場により,アレル多型の意義が明らかにされつつある。本稿ではKIRの概説に加え,CMLにおけるKIR,特にアレル多型の意義について紹介する。

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