日本組織適合性学会誌
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原著論文
PCR-MPH法によるHLA-A2, A26およびB61対立遺伝子のタイピング
中野 浩美川井 信太郎柏瀬 貢一小川 篤子石川 善英徳永 勝士赤座 達也十字 猛夫山根 明男
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1997 年 3 巻 3 号 p. 205-212

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抄録

我々はHLAの多検体のルーチン検査に適したDNAタイピング法として, Polymerase Chain Reaction-based Microtiter Plate Hybridization(PCR-MPH)法を用い, HLA-DRB1やDQB1遺伝子のタイピング法をすでに確立した. 今回, 従来の血清学的方法ではダイビングが困難なHLA-A2, A26およびB61遺伝子のアリルタイピングをPCR-MPH法で検討した. それぞれのグループに特異的なプライマーを用いてPCRを行い, A2は日本人に報告されている5種類のアリル(A* 0201, * 0203, * 0206, * 0207, * 0210)を10プローブが固定されたマイクロタイタープレートを用いてタイピングした. 同様にA26は3種類(A* 2601, * 2602, * 2603)を5プローブで, B61は4種類(B* 4002, * 4003, * 4004, * 4006)を6プローブでタイピングした. 本法を用いてアリルタイピングを行った結果, PCR-SSO法などの結果と一致した. 本法はPCRが約3時間, MPHが約2時間の計5時間で終了する. さらに今回報告したHLA-A2, A26およびB61遺伝子タイピングのMPH操作は, HLA-DRB1やDQB1のタイピングと同じ条件なので, これら全てのタイピングを同時に行うことができる.

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© 1997 日本組織適合性学会
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