日本組織適合性学会誌
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原著論文
PCR-RFLP法を用いたHLA-B抗原遺伝子の高精度DNAタイピング
小川 篤子光永 滋樹徳永 勝士石川 善英赤座 達也田所 憲治十字 猛夫
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1998 年 5 巻 1 号 p. 4-17

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抄録

HLA-B抗原遺伝子を高精度にタイピングするためのPCR-RFLP法を考案した. ゲノムDNAを鋳型として, エクソン2およびエクソン3を含むDNA断片をHLA-B遺伝子特異的にPCRで増幅した. さらにこのPCR産物を鋳型として, エクソン2は2組の, エクソン3は3組の対立遺伝子群特異的プライマーを用いてPCRを行った. この二次PCRで得られた増幅産物を制限酵素処理し電気泳動後, その酵素処理断片長の泳動パターンによりHLA-B対立遺伝子を同定した. HLA Nomenclature(1996)に示された178の対立遺伝子について酵素処理断片のパターンをコンピューターで解析したところ, エクソン2は60種のパターンに分かれ, エクソン3は80種のパターンに分かれた. これらの組み合わせより, 解析した178の対立遺伝子のうち, 127種の対立遺伝子は特定のRFLPパターンとして識別され, 残りの51種の対立遺伝子はそれぞれ2から4の対立遺伝子を含む19のパターンに識別された. UCLA Tissue Typing Laboratoryで主催されているInternational Cell Exchange Programで配布された56検体についてタイピングを行なったところ, これまで経験したことのない対立遺伝子も精度よくタイピングすることができたこの方法は, 比較的少数検体で, 検体のDNA量も少なく血清学的タイピング結果が参考に出来ない場合においてHLA-B座の対立遺伝子をタイピングするために有用であると思われる.

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© 1998 日本組織適合性学会
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