マイクロメカトロニクス
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CPTを利用した小型原子時計開発の世界的動向
池上 健
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2008 年 52 巻 199 号 p. 77-91

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抄録

従来の代表的な小型実用原子時計である二重共鳴方式ルビジウム(Rubidium:Rb)ガスセル型原子時計は,原子にマイクロ波を照射するための共振器を必要とするためた小型化の限界があるのに対し,コヒーレント・ポピュレーション・トラッピング(Coherent Population Trapping: CPT)等の光学的な現象を用いた方式では原子にレーザー光のみを照射するだけでマイクロ波遷移を検出することが可能であるため超小型化が可能となる.最近注目されているチップスケール原子時計(Chip Scab Atomic Clock: CSAC)においては,すでに米粒より小さなガスセルやマッチ箱サイズの標準器が実現され,さらなる小型化により,1cm^3のサイズ,30mWの消費電力のCSACも実現されようとしている.ここでは,CPT等の現象を用いた新しい方式の小型実用原子時計の原理とその開発の最近の動向について解説する.

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© 2008 一般社団法人 日本時計学会
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