2009 年 25 巻 1 号 p. 21-25
MCC-NIES コレクション(国立環境研究所)において非無菌の状態で継代培養されてきた3 株の微細緑藻 Chlorella saccharophila NIES-640,Ulothrix variabilis NIES-329,Volvox aureus NIES-864 について,それらの株と共存して培養されて いる細菌の組成を解析した.16S rRNA 遺伝子の部分塩基配列の相同性に基づき,U. variabilis NIES-329 およびV. aureus NIES-864 の培養株には,既知の種と近縁ではないBacteroidetes 門やProteobacteria 門,Actinobacteria 門に属する細菌が多く共存し,C. saccharophila NIES-640 の培養株には,既知の種と近縁なBacteroidetes 門やProteobacteria 門に属する細菌 が多く共存することが示された.本研究と過去の報告とから,例えばPhyllobacterium 属細菌とChlorella 属緑藻のように, 一部の細菌が藻類との間に何らかの関係を持っている,または藻類の培養株に半選択的に集積される可能性が示唆された. 本研究により,藻類−細菌相互作用の研究材料としての,非無菌の藻類培養株の潜在的な有用性が示された.