タイ国で分離された酢酸菌302 株の16S rRNA 遺伝子塩基配列を決定し,系統解析を行った.5 株はAcetobacteraceae 科の新属に分類すべきと考えられ,残りの297 株はAcetobacter,Asaia,Gluconacetobacter あるいはGluconobacter 属のいずれかに含まれた.Acetobacter 属には17 株が含まれ,8 グループ(AB1-AB8)に分かれた.グループAB2 以外の7 グループはAcetobacter 属の既知種に近縁であった.Asaia 属には150 株が属し,11 グループ(AS1-AS11)に分かれた.グループ AS11 はAsaia 属の既知種から独立していた.Gluconacetobacter 属に含まれた9 株は,Gluconacetobacter liquefaciens NBRC 12388T と100% の16S rRNA 塩基配列相同性を示した.残りの121 株はGluconobacter 属に含まれ,13 グループ (GB1-GB13)に分かれた.2 つのグループGB1 とGB6 はGluconobacter 属の既知種から独立していた.
新種あるいは新属に分類すべきと考えられたいくつかのグループが見つかり,タイの酢酸菌は系統的に多様であると考えられた.日本国内のユーザーが利用できるよう,今回研究した株のうち155 株をBIOTEC Culture Collection (BCC) から NITE Biological Resource Center (NBRC) に寄託して公開した.
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