2011 年 27 巻 2 号 p. 67-72
微生物の化学分類において,リン脂質のパターンは,様々な微生物の異なるタイプを識別するのによく利用される.本研究ではLeucobacter exalbidusのリン脂質の組成を液体クロマトグラフィー・エレクトロスプレーイオン化マススペクトロメトリー(LC-ESI-MS)で分析した.その結果,Leucobacter exalbidusのリン脂質成分は,未知物質以外に,主成分としてphosphatidylglycerol及びdiphosphatidylglycerolを含んだ.さらに詳細な解析により,Leucobacter exalbidusにはジアルキルエーテル型リン脂質が存在することが示された.ジアルキルエーテル型リン脂質は,主に高度好熱菌,古細菌及び硫酸還元菌で見出されている.LC-ESI-MSのデータ解析により,2つのエーテル型リン脂質dialkyl(33:0)phosphatidylglycerol及びdialkyl(32:0)phosphatidylglycerolが同定された.本研究において初めてActinobacteria門からジアルキルエーテル型リン脂質が見出されたことになる.