2018 年 34 巻 2 号 p. 83-91
細胞内ポリアミン構成と多細胞紅藻類の系統進化との関連性を調べるため,大型多細胞の海藻18種(19株)を含む27種(29株)の紅藻類から酸抽出したポリアミンをHPLC とHPGC-MS にて追加分析し,既分析の紅藻21 種のポリアミン構成と比較した.好熱好酸性単細胞のCyanidiales 目では,Cyanidium とCyanidioschyzon がプトレスシン,スペルミジン,スペルミンを含有し,Galdieria は,これらに加えて,ノルスペルミジンとノルスペルミンを有していた.単細胞の淡水産および海産Poryphyridium では,プトレスシンとスペルミジンで,種によりスペルミンを含有していた.海産単細胞性のDixoniellales 目,Rhodellales 目,Stylonematales 目では,プトレスシン,スペルミジン,スペルミンに,ノルスペルミジンとノルスペルミンが加わった.Bulboplastis はこの5ポリアミンの内のスペルミンに代わってサーモスペルミンを主要ポリアミンの一つとして含む特徴があった.淡水産多細胞Thoreales 目,Batrachospermales 目,Compsopogonales 目では,プトレスシン,スペルミジン,スペルミンにホモスペルミジンが追加される種が優勢であった.Bangiophyceae 綱とFlorideophyceae 綱の7目に属する海藻では,1,3-ジアミノプロパン,プトレスシン,カダベリン,スペルミジン,スペルミン,ノルスペルミジン,ノルスペルミン,ホモスペルミジン,サーモスペルミンが広く分布していた.1,6-ジアミノヘキサンが海藻12 種に検出され,アミノブチルカダベリンがGelidium とHypnea に,カナバルミンとアミノプロピルカナバルミンがMeristotheca に検出された.これら紅藻のポリアミン構成は系統進化的には異なる緑藻(アオサ藻)や褐藻のポリアミン構成とは異なっていた.