日本微生物資源学会誌
Online ISSN : 2759-2006
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単細胞性,群体性,多細胞性緑藻類のポリアミン分析
─アミノブチルカダベリン,N1-アミノペンチルスペルミジン,N8-アミノペンチルスペルミジン, およびペンタアミン類の検出─
浜名 康栄小林 正樹古地 壯光林 秀謙新津 勝
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2018 年 34 巻 2 号 p. 73-82

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抄録

緑藻類の多細胞化と細胞内ポリアミン構成との関連を知るため,新規59 試料(52 種)の単細胞性,群体性,多細胞性の緑藻から酸抽出したポリアミン画分をHPLC とHPGC とで追加分析し,既分析の124 緑藻種のポリアミン構成と比較検討した.テトラアミン類のノルスペルミンとスペルミンは多細胞大型緑藻に主ポリアミン成分の一つとして顕著に分布していたが,おのおの単細胞性の地衣類共生Trebouxiaと繊毛虫共生Chlorella variabilis(ともにTrebouxiophyceae)にも存在していた.Chlorophyceae では,群体性の淡水産VolvoxPleodorinaEudorinaYamagishiellaPandorinaTetrabaenaGonium(いずれもVolvocales)は単細胞性のChlamydomonasHaematococcusと同様に,プトレシン,ノルスペルミジン,スペルミジンが主ポリアミンであり,ポリアミン構成はこれらの群体形成に関係しないと思われた.ホモスペルミジンとホモスペルミンに加えて,新規トリアミンであるアミノブチルカダベリンが別の群体性の淡水産Westella(Sphaeropleales)に微量成分として検出された.さらに,カダベリン存在下に培養した場合には,アミノブチルカダベリン含量が増大し,新規テトラアミンであるN1-アミノペンチルスペルミジンとN8- アミノペンチルスペルミジンを生成した.高含量のサーモスペルミンの存在は多細胞性で葉状の淡水産Prasiola(Trebouxiophyceae)と海産Ulva(Ulvophyceae)に限定していた.カルドペンタミン,ホモカルドペンタミンあるいはサーモペンタミンなどは,PrasiolaUlvaに加えて,単細胞で多核嚢状性のCodium,多細胞で分岐糸状性のAegagropila,葉状性のMonostroma(いずれもUlvophyceae)および糸状性のSpirogyra(Zygnematophyceae)で微量ではあるが検出されたので,ペンタアミン類の存在は緑藻の多細胞化や大型化と関係すると思われた.

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© 2018 日本微生物資源学会
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