卵菌類は,糸状菌では一般的な含菌寒天片を基質とした緩慢凍結法による超低温保存が困難な微生物として知られている.そこで,その代替方法として期待されるガラス化法による超低温保存の効果を,緩慢凍結法での生残率が特に低い20菌株を用いて検討した.各供試菌株は,滅菌処理したナタネ種子およびゴマ種子とともに培養し,菌株が感染・定着した種子を保存基質として用いた.これらの種子をガラス化法により処理し,液体窒素で急速冷却し,保存した結果,13菌株で50%以上の生残率が得られ,特にゴマ種子においてより高い生残率が認められた.この結果から,感染種子の基質としての有効性が期待されたため,これら感染種子を用いた緩慢凍結法による超低温保存についても検討した.その結果,生残率は種子の種類や反復間で不安定であり,菌株間でも異なっていたが,従来の含菌寒天片を用いた場合と比較して,同程度あるいはより高い値を示した.これらの結果から,卵菌類の超低温保存における,感染種子の基質としての有効性が示された.