日本微生物資源学会誌
Online ISSN : 2759-2006
Print ISSN : 1342-4041
技術報告
国立環境研究所微生物系統保存施設において保存されているミクロモナス(マミエラ目,マミエラ藻綱)の日本産培養株の分子同定
松﨑 令ノエル マリーエレン河地 正伸
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 40 巻 1 号 p. 47-51

詳細
抄録

ミクロモナス(Micromonas)(マミエラ目,マミエラ藻綱)は海洋環境に広く分布する真核ピコプランクトンである.本属は設立以来,半世紀以上にわたってM. pusillaのみが認識されてきた.近年,M. bravoM. commoda,およびM. polarisが詳細な電子顕微鏡観察および分子系統により記載された.本研究では,国立環境研究所微生物系統保存施設において保存されているミクロモナスの日本産14株(M. pusilla 7株および未同定の7株)を,分子データに基づいて再同定した.18S ribosomal RNA遺伝子の配列を用いた分子系統解析の結果,NIES-3661およびNIES-3665はM. pusillaに同定された.しかしながら,NIES-1413,NIES-3660,およびNIES-3663はM. bravoに,他の9株(NIES-1411,NIES-1412,NIES-2527,NIES-2528,NIES-2529,NIES-2530,NIES-3662,NIES-3664,およびNIES-4096)はM. commodaに同定された.本研究は,属の種構成が分子データに基づいて改訂された場合に,カルチャーコレクションの培養株を再同定することの重要性を示している.

著者関連情報
© 2024 日本微生物資源学会
前の記事 次の記事
feedback
Top