未来共創
Online ISSN : 2435-8010
人類進化におけるレジリエンス
中野 良彦
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2021 年 8 巻 p. 85-107

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抄録

 生命の誕生から現代人までの進化の歴史を、レジリエンスという視点から考察した。地球は約 46 億年とされるその歴史の中で大きな環境変化を何度も繰り返してきた。それにより、生物の大量絶滅が引き起こされ、そのたびに生き残った少数の種から新たな環境における適応放散が生じた。人類においても、その進化の始まりである樹上性から地上性への変化をはじめとして、何度も生活様式を環境に適応するように変化させ、その結果として現代のような全地球的な拡散と繁栄を導くことを可能とした。しかし、その現代における物質文明は副産物として多くの問題を抱えている。とくに、人類全体に関わる環境改変と現代病といわれる様々な疾患は、急速に変化した現代環境と深い関係がある。そのために、われわれがすべきことは何であるのかについて、生物が生き残ってきた過程を振り返ることにより、環境適応がなぜ可能であったのか、そのためには何が必要であるのかといった点を生物学的な視点を中心に考察した。

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© 2021 本論文著者
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