抄録
病変の経時変化や治療効果を判定し,効果的な治療方針を決定・実施するために,診断・治療・評価の過程で得られる一連の画像を空間的に位置合わせする意義は大きい.画像の位置合わせは,CT,MR,PETの分野を中心に精力的な研究が行われ,多くの問題を解決してきた.しかし,超音波画像を対象とした研究は,超音波画像に特有の諸要因のため,他のモダリティに比べその数は少ない.近年,三次元ボリュームデータを連続的に観察・記録できる超音波装置が開発され,超音波においても診療プロセスで得られる画像群を位置合わせする意義と期待が高まっている.本研究は,肝癌治療で最近注目を浴びている超音波画像監視下で行うラジオ波焼灼療法での応用を念頭に置き,複数の小領域を用いたボリューム類似度指標を導入し,効果的に超音波画像を位置合わせする方法に関する報告である.