抄録
肝呼吸性移動を伴う臓器のがんの動きを物理シミュレーションにより予測することができれば,がん周辺の正常細胞への被曝量を低減した放射線治療が可能となる.肺底部に位置し,胸郭と並んで呼吸運動の主要な要因のひとつである横隔膜は,呼吸運動による肺変形に大きな影響を与えており,その時系列的な運動予測は重要である.そこで解剖学的知見に基づいた横隔膜の運動モデルを提案する.横隔膜運動は胸郭運動と密接に関連するので,胸郭運動との相互作用を考慮した横隔膜の運動モデルとした.また,この運動モデルを用い,3DCT(三次元CT)画像に基づいて生成した横隔膜・胸郭の形状データを使って,シミュレーションを行った.本提案モデルの妥当性確認として,シミュレーション結果と3DCT画像との比較を行い,横隔膜の運動が再現できていることを示した.