Medical Imaging Technology
Online ISSN : 2185-3193
Print ISSN : 0288-450X
ISSN-L : 0288-450X
研究速報
胸部CT画像を用いた骨格左右比較による肋骨原発性骨腫瘍の検出と体積計測
小林 涼武尾 英哉永井 優一
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 34 巻 2 号 p. 116-122

詳細
抄録

肋骨原発性骨腫瘍の所見には溶骨性と骨硬化性がある.溶骨性は骨を破壊しながら成長し,肝臓等の臓器よりも低いCT値をもった腫瘍である.一方,骨硬化性は骨表面より突出した腫瘍であり,骨領域と似たCT値をもつため,腫瘍と骨格の境界を識別しにくく,領域の分割が難しいので体積計測などの定量化は困難である.本論文では,腫瘍の溶骨性,骨硬化性の判別と検出を行い,骨格左右比較による体積計測を行う.骨硬化性の場合は骨格の体積左右比較による体積計測,溶骨性の場合にはSVMを用いた識別器によって,従来使用されている領域拡張法より高精度な腫瘍領域抽出を行う手法を提案する.健常例を用いて肋骨の左右対称性について考察し,溶骨性腫瘍4症例,骨硬化性腫瘍1症例を用い,腫瘍の判別と検出および体積計測を行った.健常肋骨の体積差は,それぞれ左右対称に位置する肋骨に対して10%未満の差に抑えられ,有症例との明確な体積差を得ることができた.また,対称に位置する肋骨同士で差分をとることで,ほとんど誤差なく骨腫瘍の体積を計測でき,腫瘍の検出を行えることを確認した.

著者関連情報
© 2016 日本医用画像工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top