Medical Imaging Technology
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特集/多元計算解剖学
多元計算解剖学の目的と概要
大内田 研宙橋爪 誠
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2016 年 34 巻 3 号 p. 135-138

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抄録

「計算解剖学」とは,高精細医用イメージング技術と情報学の融合によりさまざまな診断・治療法を高度化することを目的とした学術領域である.これまでわれわれは,大量の画像データベースに基づき正常な人体構造を統計的に記述した「計算解剖モデル」とその利用による臨床画像の理解に対して,数理的基礎論,基盤技術論,臨床応用論を構築してきた.多元計算解剖学は,その研究成果に立脚しつつ,(1)細胞レベルから臓器レベルまでの空間軸,(2)胎児から死亡時までの時間軸,(3)生理,代謝などの機能軸,(4)正常から疾患までの病理軸において理論,モデル,手法およびデータベースを発展させ,計算解剖学を多元化することを目的としたものである.これにより単なる画像理解にとどまらない統計数理モデルによる人体の総合的理解に基づき,早期発見や治療の困難な疾患に対する革新的な診断・治療法を創成することを目指している.本稿ではこの多元計算解剖学の目的と概要を述べる.

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© 2016 日本医用画像工学会
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