2019 年 37 巻 1 号 p. 3-8
拡張現実感(AR)による映像表示を用いた応用において重要なテーマの一つは,AR映像の現実世界との整合性を保つこと,つまり,バーチャルな映像を現実世界にいかに最適に再現し,ユーザーに提示するか,ということである.本稿では,まず医用画像へのAR応用事例を挙げながらARを概説し,AR表示に欠かせない光学シースルーディスプレイ技術について導入する.ARを活用する上で重要な要件である空間・時間・知覚の整合性の概念を紹介する.紹介にあたって,関連する近年の研究を交えながら,各概念について掘り下げていく.本稿は,特に,AR技術を自身の分野に適用することに興味がある読者を想定している.