2019 年 37 巻 4 号 p. 172-176
農業の分野では,育種(品種改良)に遺伝子情報が用いられている.育種に遺伝子情報を利用するには,遺伝子と表現型の対応を調査する必要がある.DNAシークエンサーの発達により遺伝子の読み取りは容易に行えるようになってきたものの,その遺伝子が植物の形状や生育にどのように影響を与えているかはいまだ不明なことが多い.そこで,遺伝子の異なる植物を大量に生育し,表現型を計測するフェノタイピングが盛んに行われるようになってきた.画像処理・認識技術は,非破壊の計測が可能であること,形状だけでなく色情報も同時に計測できることから,現在植物計測の中心的な技術となっている.本稿では,画像での植物計測特有の問題点を示しながら,フェノタイピングをおもな目的とした植物の表現型計測手法を紹介する.