本稿では,多元計算解剖モデルに基づいた術前術中診断・治療支援について述べる.多元計算解剖学は,空間軸,時間軸,病理軸,機能軸の4つの軸に沿って解剖構造を解析し,それを診断治療へと応用する新しい研究分野である.名古屋大学を中心とした研究グループでは,多元計算解剖モデルを活用した診断治療支援システムの構築を行ってきた.また,マイクロCT画像を活用して,標本レベルでのマイクロ解剖構造の解析などを行ってきた.加えて,腹腔鏡手術支援や内視鏡検査支援などの研究も強力に遂行してきた.マイクロ解剖構造解析に基づく超拡大大腸内視鏡の診断支援システムも開発され,医機法に基づく承認も得ることになった.ここでは,多元計算解剖学に関連する筆者らの研究グループの研究成果を紹介するとともに,多元計算解剖学を振り返り,今後の展望について述べたい.