2026 年 44 巻 4 号 p. 155-160
本稿では,がん化に伴う細胞組織の形態変化観察を目的として取り組んできた反事実病理画像を生成する研究について解説する.悪性リンパ腫は70を超える多種類のサブタイプに分類されており,その病理診断では細胞核や細胞組織の形態が観察され,これらの形態は診断のための重要な要素となっている.現在までに,サブタイプ診断のための定量評価基準は存在せず,病理医は定性的な診断によりサブタイプを判断している.このような診断では再現性の確保が容易でないことに加えて,診断根拠の説明にも課題があるため,悪性リンパ腫診断のための定量評価基準の実現が望まれている.本研究では定量評価基準の確立に向けて,がん化に伴う細胞組織の形態変化を反事実病理画像により可視化する.本稿では,このために取り組んできた著者の研究について,複数の文献を横断的に参照しながら解説する.