抄録
本研究の目的は,管理会計導入プロセスの新たな分析視角を知識移転および知識創造から得られた知見に基づき提示することである。管理会計導入プロセスを管理会計の専門家と非専門家(当事者)による管理会計知識の共創プロセスと解釈し,当事者の吸収能力および普及能力が与える影響を検討している。結論を述べると,管理会計知識の共創プロセスは管理会計導入の当事者が吸収能力および普及能力を相互補完的に用い,知識変換を通じて互恵的に知識を移転するプロセスであるという分析視角を概念図で示した。本研究のインプリケーションとして,管理会計知識が複合的および社会的性質を帯びること,管理会計知識の共創が連続的な知識変換プロセスであること,管理会計変化の解明に管理会計知識の共創と当事者間の信頼関係との相互影響を考慮することが挙げられる。