Medical Mycology Journal
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教育シリーズ:Superficial mycosis
爪白癬
原田 敬之
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2011 年 52 巻 2 号 p. 77-95

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抄録

爪白癬は長年治療に難渋する疾患の1つであったが,1990年代に入ってわが国においてもイトラコナゾール,テルビナフィンといった新しい経口抗真菌薬が使用できるようになった.その優れた有効性,安全性から積極的に治療することが可能となり,改めて爪白癬の病態,診断,治療などについて脚光を浴びている.爪白癬はわが国の人口の約10%に罹患者が存在し,特に高齢者ではさらに頻度が高い.今後高齢化社会が益々進むにつれて爪白癬を有しているために肉体的ならびに精神社会的な負担を生じ,老後のQOLを大いに損ねる危険性も予想される.また,爪白癬の病巣が他の病型の白癬や他人に白癬を感染させる感染源となりうる.治療に当たって爪白癬の確定診断を行うことが必須であることはいうまでもないが,単に画一的に内服療法を行うのではなく,外用療法,局所療法を駆使して症例ごとに最良の治療法を探求・選択することが最も重要である.爪白癬に関して今までに優れた成書や総説を始め論文は極めて数多く出版されているが,今回はわが国の実情も踏まえていま一度概説したい.

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© 2011 日本医真菌学会
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