Medical Mycology Journal
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総  説
病原性酵母 Candida における抗真菌剤標的候補探索:その分子生物学的アプローチ
宮川 洋三
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2013 年 54 巻 2 号 p. 117-122

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抄録

  抗真菌剤の標的候補としての必須遺伝子群を,一倍体として増殖する Candida glabrata の温度感受性変異株(ts 変異株)を用いて効率的に探索・同定する方法(ETS システム)を確立した.本システムは,「ts 変異はゲノム上の必須遺伝子内に起こった点突然変異により生ずる」との一般的概念を基礎とし,C. glabrata Genomic DNA Library(GDL)からこの ts 変異を相補する必須遺伝子を分離・同定するものである.ETS システムを用いることにより,ts 変異株の一つ,T-3 株より,出芽酵母 TEM1 遺伝子の相同遺伝子 CgTEM1 を必須遺伝子として分離・同定できることが示された.ts 変異株 T-3 の CgTEM1 領域内に見出された点突然変異(Asp-143/Asn)は,この CgTEM1 遺伝子により相補されることが確認された.本研究により,病原性酵母 C. glabrata 由来の必須遺伝子群を ts 変異に対する相補活性を保有する遺伝子として分離できることが示された.ここで確立した ETS システムは,将来の抗真菌剤開発における有用な標的候補を提供するものと考えられる.

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© 2013 日本医真菌学会
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