2013 年 54 巻 2 号 p. 141-146
皮膚科領域の真菌症から原因菌を分離培養することは皮膚科医にとって比較的容易であるが,培養された菌の正確な同定にはスライド培養が必要とされることが多い.今回従来のスライド培養法の煩雑な部分を改良した簡便なスライド培養法を考案したので報告した.これはカバーガラスよりわずかに大きな,密閉できる蓋付きポリプロピレン製小物収納用ケース内でカバーグラス上に菌を発育させるもので,このケース以外特別な用具を必要とせず,一度に複数の標本を作ることが可能な方法である.得られた標本も質的に従来のスライド培養法と変わらなかった.本法は皮膚科診察室でも容易に真菌の同定を行える有用な手法と考えられる.